ある特定の感染症の病原体(細菌、ウイルス等)の病原性を可能な限り弱める、あるいは無力化させたものをワクチンと言います。このワクチンを体内へと接種すると、その原因とされる感染症に罹患しなくても免疫がつくようになります。これによって、その後同様の病原体が体内に侵入したとしても、発症しにくくなるか、発症しても軽度で済むようになります。このように発症するリスクを、あらかじめ低減させるように行う対策のことをワクチン接種、あるいは予防接種と言います。
当院では、青梅市が実施する全額公費負担の小児の定期予防接種、費用の一部が助成される高齢者肺炎球菌ワクチンや高齢者のインフルエンザワクチン、MRワクチン(青梅市発行のクーポン券が必要)のほか、公費助成のない高齢者以外のインフルエンザワクチン、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンの接種を行っています。
ワクチンの種類 | 予防できる感染症 | 定期接種が推奨されている期間と回数 |
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ロタウイルスワクチン 【生ワクチン】(1価(ロタリックス)もしくは5価(ロタテック)のどちらかを選択) |
感染性胃腸炎 | 生後6週から接種可能(接種の推奨は生後8週より)です。1価を選択した場合は計2回(生後24週までに接種を終了)、5価を選択した場合は計3回(生後32週までに接種を終了)の接種になります。 |
B型肝炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
B型肝炎 | 生後2~4ヵ月未満の間に2回、7~9ヵ月未満の間に1回の計3回を接種します。 |
ヒブワクチン(Hib) 【不活化ワクチン】 |
ヒブ感染症 (細菌性髄膜炎 など) |
生後2~5ヵ月未満の間に3回と、生後12~15ヵ月未満の間に1回の計4回の接種です。 |
小児用肺炎球菌ワクチン 【不活化ワクチン】 |
肺炎球菌による感染症 (細菌性髄膜炎 など) |
生後2~5ヵ月未満の間に3回、生後12~15ヵ月未満の間に1回の計4回の接種になります。 |
四種混合(DPT-IPV)ワクチン 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ | 生後3ヵ月~6ヵ月未満の間に3回、生後12ヵ月~18ヵ月未満の間に1回の計4回を接種します。 |
BCGワクチン 【生ワクチン】 |
結核 | 生後5ヵ月~8ヵ月未満の間に接種します(1回)。 |
MR(麻疹・風疹混合)ワクチン 【生ワクチン】 |
麻疹(はしか)、風疹 | 1歳~2歳未満の間に1回、小学校就学1年前の間(幼稚園や保育所での年長児)に1回の計2回の接種です。 |
水痘ワクチン 【生ワクチン】 |
水痘(水ぼうそう) | 1歳~1歳3ヵ月未満の間に1回、1回目の接種から半年~1年程度の間隔を空けて1回の計2回を接種します。 |
日本脳炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
日本脳炎 | 3歳~4歳未満の間に2回、さらに2回目の接種後に1年程度間隔を空けて1回、その後9~13歳未満の間に1回の計4回の接種が必要です。 |
二種混合ワクチン 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、破傷風 | 11~13歳未満の間に接種します(1回)。 |
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン 【不活化ワクチン】 |
子宮頸がん | ① 小学6年生から高校1年生の女性 (公費負担年齢) 15歳未満の女性は、1回0.5mLを合計2回、もしくは3回、予防接種します。 15歳以上の女性は1回0.5mLを合計3回の予防接種となります。 ② 平成9年4月2日生まれから平成18年4月1日生まれの未接種の女性 こちらの対象に該当する方は、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。1回0.5mLを期間をあけて合計3回、予防接種します。 |
ワクチンの種類 | 予防できる病気 | 接種の推奨期間と回数 |
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おたふくかぜワクチン 【生ワクチン】 |
おたふくかぜ | 1歳から接種可能、その後おたふくかぜを罹患していなければ、接種後3年前後で2回目を接種します。 |
インフルエンザワクチン 【不活化ワクチン】 |
インフルエンザ | 生後6ヵ月から接種可能。13歳未満は計2回の接種が必要。免疫の持続効果期間は約5ヵ月なので、流行期間の直前に毎年接種します(遅くとも12月中旬まで)。 |
A型肝炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
A型肝炎 | 計3回で、1歳から接種可能。1回目の接種後に2~4週間の間隔を空けて2回目、さらに約半年後に3回目を接種します。 |
三種混合ワクチン 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、百日咳、破傷風 | 5歳から11歳未満の間に百日咳の感染予防目的として同ワクチンを接種することもあります。また11~13歳未満の間に海外では三種混合ワクチンを受けるのが一般的です。 |
ポリオワクチン 【不活化ワクチン】 |
ポリオ | 海外では、4歳を過ぎてから同ワクチンを受けるのが一般的です。 |
風しんワクチンを受ける機会が1回もなかった昭和37年4月2日~昭和54年4月1日の間に生まれた男性は、青梅市が発行したクーポン券を使用することで風しん抗体検査が無料となります。その結果、風しんの抗体が不十分という場合は、1回に限り無料でMRワクチンが受けられます。
また上記以外の方で、19歳以上の女性で将来的に妊娠を予定、希望されている方とその女性の同居者、また妊婦と同居している方についても風しん抗体検査、風しん等予防接種に関して助成を受けられます。
上記の詳細につきましては、青梅市の公式サイトをご確認ください。
毎年日本では12月~3月の時期にインフルエンザが流行します。同疾患はマスクの着用やこまめな手洗い等、予防対策がいくつかありますが、最も有効とされてうるのがインフルエンザワクチンの接種です。
同ワクチンは、1回の接種による持続効果期間は約5ヵ月、接種から効力が発揮されるまでの期間は2週間程度かかると言われています。つまり同ワクチンをより有効にさせるためには接種時期も重要です。そのため効果をより高くしたいのであれば、流行のピークを迎える1月よりも少し前の12月中旬頃までに受診されるようにしてください。
なお青梅市では、高齢者等を対象にしたインフルエンザの費用に関しては公費による助成対象となっています。詳細は、青梅市の公式サイトをご参照ください。
肺が病原体(細菌 等)に感染するなどして炎症を起こしている状態が肺炎です。発症の原因はさまざまあるわけですが、成人の肺炎罹患者さまで最も多いのが肺炎球菌と言われています。また肺炎は、日本人の死因第5位となっていますが、死亡者の大半は65歳以上の高齢者です。そのため高齢者等の肺炎球菌ワクチンの接種は、定期予防接種扱いとなっています。青梅市でも1回限定ではありますが、肺炎球菌ワクチン(23価)の一部公費助成となっています。ただし、これまでに肺炎球菌ワクチン(23価)を接種したことがない方、当年度で65、70、75、80、85、90、95、100歳になる方など、全ての高齢者を対象としていませんので、詳細につきましては青梅市の公式サイトをご確認ください。
なお定期予防接種の対象外という方でも、全額自己負担にはなりますが同ワクチンを接種することは可能です。ちなみに再接種を希望される方で、前回の接種から5年以上の間隔を空けずに打つとなると注射部位に強い痛みが現れるようになります。